仕事や環境に関わらず、人に何かを教えるという場面は必ずあるかと思います。特に社会人になると勉強会や説明会、プレゼンなど、教える立場に回ることが増えてきます。
意外とそういう場面は多いのに「教える」というスキルは二の次だったり。
「教える」ことがうまくなれば、プレゼンでいい印象を与えたり、後進を育てることができたり、説明会や勉強会でスピーカーになれたりと自分の幅を広げることができ、且つ自分の中での深い理解にも繋がります。
というわけで、教育学部卒の元塾講師の経験から「教える」スキルアップのこつを紹介します。
1st Step 相手の理解度を把握する
これが疎かになる人が非常に多いです。理解度を把握することで、「どこから」「何を」教えればいいのかが判断出来ます。
教えているとよくあるのが、「自分が何がわからないのかわからない」という状態になっている場合です。
この場合、基礎になっている部分がグラグラなまま、その先の知識を入れてしまってわけが分からなくなっているので、時間がかかってしまっても基礎・基本に立ち戻って教える必要が出てきます。
教えるのが上手い人は簡単なやり取りをしただけで相手のグラグラな基礎の中から的確に弱点を見つけ、対応することができます。教えるのが苦手という人でも、時間はかかりますが基礎から一つ一つ確認していけばいいわけです。
よくある駄目なパターンは、このくらいはわかっているだろうと決めつけてしまう人。どれだけ説明しても全く相手にはチンプンカンプン。こういう人は「相手が何がわからないのかわからない」という状態になってしまい、その場での修正は無理だと思います。
というわけで、教えることの第一歩は「相手の理解度を把握する」ことです。
2nd Step 相手の理解力を把握する
一つめをクリアしたら次は理解力の把握です。理解力を把握することで「どのように」教えればいいのかが判断出来ます。
1を教えて10理解できるような人は、簡単な流れを説明しただけで後は自分で何とかできてしまいます。こういう人に細かく説明しても無駄。次のステージにどんどん進んでもらいましょう。実践的な課題を与えても効果大です。
10教えても1しか理解できない人は、懇切丁寧に、言葉も噛み砕いて反復しながら教えていく必要があります。ある程度進んだら一回戻ってテストしてみるのもいい手です。
というように、「相手の理解力を把握する」ことができれば、その人に合わせた教え方やスピードにすることが可能です。
多人数相手だとなかなか対応しづらいのが難しいところです。
3rd Step ボキャブラリー・話せる趣味
どのように教えればいいのかわかったら、相手に合わせて言葉を選ばなくてはなりません。いくら理解力のある人への説明でも、知らない言葉を使っていたら理解は程遠いです。
特に技術系の言葉は、その分野にいる人にとっては当然の言葉でも外の人にとってはチンプンカンプンなものが多く注意が必要です。そういう言葉でも噛み砕いて説明することができるようになることが重要。
時には相手の趣味や知識の範疇から例えを入れて説明するのもいい方法です。相手の得意分野と自分の知識との共通点を見つけておくために、積極的にコミュニケーションをとりましょう。無駄話も大事です。
歩くWikipediaになれとまでは言いませんが、ある程度のボキャブラリーや話せる趣味を身につけておく必要があります。
4th Step 小さな目標を設定する
人から物を教わると言う場合、何かしらのゴール地点が存在します。その目標が遠く大きなものになるほど、高いモチベーションを維持し続けられる人は少なくなっていくでしょう。
独学がうまくいかないのはここに原因があります。自分だけではどこまで理解できているのか何ができるようにになったのかが、いまいち実感出来ません。
そこで教える側が小さな目標設定をしてあげる事でレベルアップしている実感を与え、次へのモチベーションにすることができるのです。
で、達成したら褒める。べた褒めは良くないですが褒めることも大事。この段階で、何ができて何ができないのかを指摘してあげる事も大事です。そうすることで、次の目標が見つかり、より知的欲求を高めることができます。
この小さな目標は教える側がここまでのステップを踏まえた上で判断しましょう。
Last Step 相性
これが最後にして最大の壁。相性です。人間同士なので必ず相性というものがあります。
学校や塾で周りがその先生が良いと言っていても、どうしても授業が理解できないということありませんでしたか?それが相性です。
どれだけ説明がうまい人でも生理的に受け付けなければ、説明は頭に入って来ません。
説明が決してうまいいとはいえない人でも、相性が良ければすんなり理解できてしまうこともあるのです。
元も子もないかもしれませんが、相性が悪い場合はきっぱり諦めてしまうのも手です。そういうわけにはいかないという場合もあると思いますが、下手に時間をかけるよりも割りきってしまったほうがいいことのほうが多いように思います。
予備校や塾の人気講師はこの相性を逆手に取って、自分のクセのある講義を行うことで相性の良い人のみを集めるという方法を取っていますね。
というわけで、相性大事。
まとめ
ここに挙げたことは、「親が子に教える」、「先生が生徒に教える」、「先輩が後輩に教える」などなど全てのことに共通していることだと思います。
少しずつ気をつけていくことで「教える」スキルは向上していくんじゃないでしょうか。
技術畑に来て、特にこの人もったいないなぁと思うことが多くなったので、こんなことを書いてみましたが、皆さんの参考になればと思います。
個人的にも勉強会に参加したり主催したりしたいなと思っている感じですので、その際はよろしくです。